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三冠馬の憂鬱 〜コントレイルという馬の引退〜

昨日、東京競馬場で行われた「ジャパンカップ」というレースに於いて、2020年の牡馬三冠馬であるコントレイル号が見事に優勝。通算でG1レース5勝という素晴らしい記録を残して、このレースをもって引退、種牡馬入りをすことになった。昨日は同時に引退式も東京競馬場で行われています。

2021年 ジャパンカップ(GⅠ) | 第41回 | JRA公式 - YouTube

【引退式】コントレイル(Contrail retirement ceremony) | JRA公式 - YouTube

この馬、ノースヒルズ所有、矢作調教師管理、福永祐一騎手騎乗とネームバリューも高く、この数年における競馬界では本来スーパースターとして君臨するくらいの実績でありながら、正直なところ競馬好きな人たちの反応を見ても、どうも今ひとつ反応が薄いというか、コントレイル号への人気度の低さを感じることが多い。

もちろんそれは昨年の競馬がコロナ禍における無観客レースという状況で開催され、本来であれば感じるべき偉業達成における一体感の欠如であることは、一つの要因とは思っている。映像で見ることはできるが、それは演劇なども同様に、「会場での一体感」という大きな要因あってこその「馬へのリスペクト」だと思うので。このあたりは馬や陣営にとっては、かわいそうというか難しい話だけに仕方なのないところだとは思う。

ただ近年の三冠馬やG1を複数勝利した馬と比べても、遜色のない結果ながら、なにかピースが欠けた感じがするのもまた事実。同じノースヒルズ所有のダービー馬である「キズナ」号は今でも高い人気を誇り、それはもちろんあの馬の持つ「ストーリー」によるものが大きい。

やはりコントレイル号にはストーリーがありそうでないのが、一番大きいのだと思う。

競馬は不思議なもので、自分もそうだが「馬券」という要素以外に「ストーリー」を楽しむスポーツだと思っている。それは血統という血をつなぐものや、騎手や調教師、オーナーなど馬を囲む人のストーリーだったり。昔では「ダービースタリオン」、最近では「ウマ娘」もここに楽しむ要素として入るでしょう。

こういった要素を見たときにそれぞれ人が感情移入するポイントを、馬券とは違う要素で見つけて楽しむ部分が、競馬の面白さの広がりであったり、人気が平成以降爆発してなおも一定の水準で維持できる理由だと思う。

去年のジャパンカップで一度盛り上がった部分が、今年の大阪杯での負け方、宝塚記念に出走せず、秋の天皇賞で完敗という流れで来てしまったこともあり、なかなかストーリーも強さも見せることが難しい馬になってしまった。正直グランプリに出ていないのは、結構マイナスという気はするのだがもうこればかりは仕方ない。

とりあえず先日のジャパンカップで引退という既定路線のなか、しっかりと素晴らしい走りで締めたことが、コントレイル号の最後のストーリーとして、どの程度競馬ファンの心に残るかだとは思う。福永騎手の涙はなんというか、個人的にはちょっと意外だった。馬選びに関して、正直思い入れを感じることが少ない騎手という印象が強いので。流石に三冠馬には違ったのか?とか怪我なく終えて責任果たしたという気持ちなんだとは思う。

馬の評価は、どこに尺度を置くかで変わるので、比較論が意味を持つのかはわからない。

昔よくあった、シービーとルドルフの比較であっても、そこはレース結果だけ見れば一目瞭然だが、そこだけが馬の価値でないことは明白。それ言うなら武豊が騎乗したオジュウチョウサンだって同じこと。コントレイルも強さだけの尺度で見れば立派だから、そこにどんな付加価値が付くか?なんだが、、、、個人的にはあまり多くのものがついた感じがしないので、これからの種牡馬生活で変われば良いなと思う。

このお辞儀が一番のストーリーだとしたら、面白いけど。

https://twitter.com/netkeiba/status/1465078037796442113?t=WMIoX-aSXKid9vfszLK_mA&s=19

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武豊の時代が終わり(コレ自体はファンである自分は、猛烈な悲しさを痛感している)、そのあとエージェントとノーザン主導の競馬社会が続いている状態が、もうしばらくあるんだろうと思う。そのエージェントの申し子である福永騎手が同じく有力馬主のバックアップで結果を出し続けた川田騎手、ノーザンの主戦であるルメール騎手と三人で回していくところに、松山・横山両騎手が加わってバランスとしては面白いが、ほぼ寡占状態でもある。それ以外はホントにおまけのようなビックレースが多い。実際、海外もこんなもんかな?と思う時もあり、そういう時代の中で競馬はストーリーを生みにくい状況があるのかな?と思ったりするけど、スターホースになりうるエフフォーリアという存在に期待もしている。

武豊に関しては、時折見せる上手さだけが光ること以上に、これだけの人でも潮が引いたときの寂寥感はかなりせつないものだなあ、、、と痛感してしまう。キタサンブラックが最後のお土産になるとは、予感はしつつも現実には悲しいもんです。